母さん、僕のあの賞与、どうしたんでしょうね?

ええ、夏、職場から静岡銀行に、
数十万振り込まれたあの賞与ですよ。
母さん、あれは1%くれる約束でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり家を買おうっていう話がきたもんだから。
母さん、あのとき、見学会に行きましたっけね、
白の壁に檜を施した。
そして購入計画書を作成して、ずいぶん心折れましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ土地が2000万円で、それに建物合わせて
5000万円ぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの賞与どうなったでしょう?
※参考文献:西条八十「ぼくの帽子」