凹みUltron。
前玉が凹んでいるという特徴を持つオールドレンズである。
目次
私と凹みUltronとの出会い
私がUltronを知ったのは先月。
気がついたら買ってた。

一目惚れである。
凹みUltronとは
フィルターを外すのを忘れてたので分かりにくいと思いますが、前玉1枚目が凹んでいることから「凹みUltron」と言われています。
UltronといえばVoigtlanderじゃないの?とか、このレンズの歴史とか、そういう蘊蓄の話は他のサイトに詳しく載っているので割愛。
私的にはUltronという響きが「昔のブラウン管テレビの名称」みたいで気に入ってる。
クロームメッキされた前面・そして鏡筒も実は真鍮製。
プラスチッキーな外観に反して、重厚感があります。
第一印象は悪かった
購入するにあたり、様々なサイトや作例を見たのだが実際に購入し手にとってみると第一印象は良くなかった。
理由は2つ。
- フィルターが取り付けられない専用バヨネット
- 絞りがクルクルクルクルクルクルクルクル
詳しく説明しよう。
①専用バヨネット
このレンズは、icarex(イカレックス)というオールドカメラ用。
Voigtlanderとzeiss・Ikonの共同開発により1966年に発売されたものです。
んで、
このicarexレンズには、前面に汎用フィルターやレンズキャップをはめる「溝」が無い。
専用バヨネット式なのである。
もはや入手不可。
icarex所有者は困っているのではないでしょうか。
途方に暮れていたところに、icarex専用フィルタ枠アダプタを製作しているサイトがありました。

真鍮剥き出しで作成されたアダプタ。
これで汎用フィルターが装着できる。
精度も申し分ない。グッと質感が上がる。素晴らしい。
欲しい人は急ぐべし。
②絞りの節度感ゼロ
もう一つ難点。
っていうか、「買って失敗したかな?」と思ったのが「絞り」
なんつーか、クルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクル回る。
クリック感が無いのはまだ許せるんだけど、トルク感ゼロ。
何これ。
中華レンズに「F3.0」表記があるものがあって「F3.0って何?」と思っていたけど、この上の写真はF2.1くらいで撮影している。F2.15かもしれない。
気がつくと絞りが変わってる。
大王
この2つの欠点、どうにかならなかったのかなぁ?と思います。
icarex(イカレックス)のレンズは全て同じようなデザインです。

ちなみに
レックスとは「王様」「国王」「大王」のような意味があります。
イカの大王。
ああ、「ダイオウイカ」か…

ダイオウイカなら仕方がないかな。
使い潰そうと思ったけど
ってな具合で、第一印象が悪かったのでテキトーに「使い潰す」くらいの気持ちでいたんだけど思いの外よく写る。
ピントはしっかり解像し、それ以外はよくボケる。
使っていくうちに愛着が増す。
オーバーホールも済ましてあるし、私の大切な相棒と化した。
私はMTF曲線とか、フレア・ゴースト・各種収差などよくわかってません。

使っているうちに、そんな事はどうでもよくなります。
このレンズは欠点もあるけど、重厚なオールドレンズ勢のなかで「愛らしさ」がある。

痘痕も靨(あばたもえくぼ)
凹みUltronは、ひねくれ者の私の懐にススっと入ってくる可愛いレンズである。